事件簿

山陰のとある城下町での話。働き者のＡさんは 、東京に住む一人息子のため、好物のチマキを送ろうと宅配センターへ。 その帰り道、居眠り運転のトラックが赤信号を無視して交差点に  進入し、乗用車と衝突。 大事故に巻き込まれた Ａさんは即死 でした。
残された耳が不自由な 夫のＸさんは 、ショックから食事もままならないほどで、精神的ダメージは相当なものでした。そんな彼に、保険会社が提示した賠償金は1300万円ほど。これが保険会社の基準だといいます。本来慰謝料は、個々が受けた精神的な損害を金銭に置き換えて賠償するもので、保険の基準は関係ないはずです。
そこで私は、当時の最高額を超える慰謝料を求 めて提訴。一人息子に宅配便を送った帰り道で 突 然命を奪われたむごさ、愛する妻が見るに堪えない姿 で亡くなった夫の無念さ、 赤信号を無視して 交差点に進入した過失 の大きさ―。裁判所は、それらに理解を示し、当時の女性の慰謝料の最高 額を超えた２３００万円を決定しました。このように 、保険会社と裁判所基準の額が異なる場合もあるので、 安すぎる慰謝料に疑問を感じたら、専門家に相談を。