2023.07.28

~こんな案件ありました~ 「マイナス財産の財産分与!?」

#財産分与#板根富規弁護士#判例・裁判例#離婚問題

今日は、当事務所のホームページに掲載してある『その他おもしろ判決』のなかにある『財産分与についての新判決』についてご紹介します。
この事件、私は妻側の代理人で、夫名義で購入したマンションの財産分与をどうするか、が争点となりました。
マンションには住宅ローンが残っており、しかも、マンションの評価額がローン残高を下回るというものでした。
価値のない不動産をどうして欲しがるのか、疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
ここでいう裁判上の評価額は、必ずしも時価とは限りません。
また、住み慣れたマンションに引き続き住みたいという場合もあります。
私のクライアントも引き続き同じマンションに住みたいと考えておられました。
評価額の話はさておき、ここでネックとなるのが、住宅ローンの名義が夫であることでした。
建物だけ貰っても、夫がローンを支払わなければ、競売されることになります。
そこで考えたのが、夫名義のローンを妻が債務引受することでした。
過去の裁判例を調べましたが、これまでに債務引受を条件とする財産分与の判決例はありません。
とにかく思考錯誤しながら、財産分与と債務引受を独立させて、請求の趣旨としました。
最終的に、判決は、債務引受と財産分与を一体化させた主文となりました。
判決を受け取って、裁判所はさすがだな、思わず関心しました。
判決確定後、無事、□×銀行との間で債務引受ができたことから、執行文の付与を受け、財産分与を原因とする所有権移転登記手続ができました。
この裁判例については、何人もの弁護士さんから照会を受けております。
中には事件番号を教えて欲しい、という方もいらっしゃいましたが、当事者のプライバシーの問題があるので、事件番号の照会には応じておりません。
これだけ同業者から関心を得られたのは、柔軟な解決に導くことができたことの裏返しだと自負しております。
財産分与のことでお悩みがありましたら、是非私共の事務所までご連絡ください。