2023.07.24

突然、亡くなった父の前妻の子から相続分を渡すよう要求されました。

≪質問≫ 
先月父が亡くなりました。
最近までは葬式の準備や相続手続きで忙しかったのですが、先日父と前妻の間の子Aから連絡があり、自身の相続分を渡せと言ってきました。
私とAとは一切の付き合いもなく、父の遺言では私が100%相続するようになっています。
それでも、Aの要求に応じなければならないのでしょうか?

≪回答≫ 
はい。Aには遺留分侵害額の請求権があるので、Aの要求に応じなければなりません。

まず法律的に、Aは亡くなった父の子供にあたるので、父との関係で法定相続人にあたります。(民法887条1項)
そして、民法1042条と民法1046条は法定相続分が侵害されたときのために、遺留分侵害額の請求権を定めており、Aの場合、法定相続分の半分の金額が最低保障として認められます。
Aの法定相続分は1/2なので、その半分の1/4の金額がAの最低保証の権利として認められることになります。
よって、質問に対する答えとしては、1/4を限度としてAの要求に応じなければなりません。
私共は、これまで数多くの相続・遺産分割事件を取り扱ってきましたが、実際のケースは相続関係がもっと複雑多岐にわたり、手続きもややこしくなってしまいがちです。
相続人間のトラブルに巻き込まれたときはご自身のみで判断をしようとせず、気兼ねなくご相談にいらしてください。